IT経営マガジン「COMPASS」編集長 石原 由美子
本連載では、IT経営マガジン「COMPASS」に掲載した全国のIT活用事例をもとに、中小企業の経営において、ITがどのように役立つかを解説していきます。
前回に引き続き最新技術を現場に取り入れる様子を紹介しましょう。
いくつかのファイルからデータをコピーして表を作成、該当する人にお知らせするなどといった、人がパソコンを操作して行う定型業務。何度も繰り返す作業であれば、パソコン上のロボットに教えて自動化することができます。
朝、出社するとファイルが出来上がり、社内関係者への送信が完了していた、ということも現実になりました。いち早く導入を検討した企業の例を見ていきましょう。
「COMPASS」2020春号から転載(記載内容は掲載時点のもの)
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<会社概要>
昭和電機株式会社
大阪府大東市新田北町1番25号
設立:1956年
従業員数:241人
事業内容:送風機、環境改善機器の製造販売
URL:https://www.showadenkigroup.com/
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送風機、環境改善機器を製造販売する大阪府大東市の昭和電機は、積極的にITを経営に生かし、取引先との良好な関係を基盤に業績を伸ばしている。数年前からは、パソコン上の繰り返し操作を自動化するロボットソフトであるRPA(Robotic Process Automation)の導入を進めてきた。
「現在、40の業務にRPAを適用し、月間350時間の作業時間を削減しました。空いた時間で仕事の高度化を行い、競争力を確保したいと考えています」
昭和電機・経営管理部ICTシステムグループチーフの春山国彦氏は、RPAの浸透と成果をこのように説明する。
経営管理部長の鶴の一声で検討を始め、お試し利用や、RPAを適用できそうな業務の洗い出し、RPAツールの比較検討を行ってきた。最終的には、NTTグループの「WinActor」と、ユーザックシステム社の「Autoジョブ名人」「Autoメール名人」を選択し、組み合わせた利用とした。RPAを利用するにあたっては、まず、適用したい作業を選び出し、実行の流れを明確化して「作業シナリオ」を作成する。
同社では、ITベンダーに使い方を習い、モデルを参考にしながら、順次、業務ごとに作成を進めてきた。途中からは入社したばかりの2人の若手スタッフも「ロボットづくり」=動作シナリオ作成に携わっている。
では、どのような作業が自動化できるのだろうか。
最初に手掛けたのは、管理職の会議用に週報を集めてまとめる作業だった。
「参加者からレポートを送っていただき、一つのPDFファイルに編集しますが、ファイル形式をそろえる、締め切りを過ぎた場合の督促など、細かい作業が発生していました」と同グループの栗山隆史氏は振り返る。
RPA活用後は、「締め切りが近づくと未提出者にメールを配信。週報が届くと、一つのファイルに編集し、関係者に送付」─これが全て自動化された。そのほかにも社内でRPAが適用可能な業務例には、「タイムカードの打刻漏れ通知」「基幹システムから販売データを取り出して集計し、エクセルのファイルにして関係者にメールで送付」など幅広い。
「皆に理解してもらうために、RPAが動いているパソコンを見やすい場所に置くなど工夫もしました。最近は、『この業務に使えないか』と具体的なリクエストが来ます」と春山氏。
基幹システムのデータ分析を行うなら、システム側を改変する方法もある。この点について栗山氏は、「欲しいデータ項目は変化しますし、基幹システムの改変には時間とお金がかかることを考えると、RPAで柔軟に対応する利点は大きい」と言う。社内でつくるロボットだからこそ、変化に合わせやすいのだ。人に優しいインターフェースが逆にRPAでは扱いにくいなど、使って初めて分かることも多々あったという。今後は、「ネットからの受注→手配を自動化する」など、新しい取り組みに挑戦したいとのことだ。
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【事例からヨミトル】
- パソコンを使う仕事の中に、定期的に繰り返している作業はないか、点検してみましょう。
- 作業の段取りを明確にできれば、RPA(パソコン上の作業をシナリオ通りに代行してくれるロボット)を活用し、自動化することができます。
- 新しいテクノロジーを使うチャンスは増えています。
