気象予報士兼税理士 藤富 郷

初めまして。今月よりコラムを担当します、藤富郷です。長年、気象キャスターを務めておりますので、「クラウドな話」のスタートは、雲について書いてみようと思います。

 みなさんは「雲をつかむ」とはどのようなイメージでしょうか?漠然として曖昧、少々ネガティブな感じですよね。雲ははるか高い所にあって手が届かず、もしつかめたとしても手応えがありませんからね。会議などでは「雲をつかむような話」は避けたいものです。

 一方、天気の世界で雲をつかむといえば、状況を把握するのに一番大切なことで、明確なものといえます。どういうことかといいますと、まず天気をつくっているのは、空気の流れです。ただ、空気はどこから流れてどこに向かい、温度や湿度はどれくらいか、目には見えません。アメダスなどの気象観測でどうにか捉えようと、気温・風向風速などを測りますが、それも観測地点でしか分からないものです。

 ところが、雲を見てみると、空気の流れは一目瞭然です。雲は、上昇気流によって空気が冷やされ、空気中の水蒸気が水滴や氷の粒になることでつくられます。どの高さで、どんなスピードで流されるかなど、空気の流れを可視化してくれ、天気を教えてくれるのです。観測機器のない昔から行われている観天望気も、空を見上げて雲の形や動きを見てきましたよね。

 人工衛星ができてからは、宇宙から雲を観測できるようになりました。日本のはるか南、太平洋の雲の様子まで分かったことは、どれだけ画期的だったでしょう。当初、3時間に1回の観測でしたが、今では2.5分に1回と、リアルタイムで雲を捉えられるようになりました。これは台風の監視や予測、積乱雲の急速な発達の把握など、災害予測にも役立っています。

 このように天気の視点から見ると、世にいう“雲をつかむような”曖昧な話でも、背景を深く観察することで、全体像がはっきりしたり、ポジティブな話に変わっていったりすることもありそうですね。

 今回は雲の話をしてみましたが、他にもクラウドといえば、ネットでさまざまなシステムやサービスを結び付けるものがあります。異なる分野がクラウドでつながり、効率的になったり新しいものが生まれたりしています。私自身も、気象予報士でありながら税理士になり、鉄道やダムについても語っています。全く異分野のようですが、それぞれが結び付いて、まさに頭の中がクラウドのようです。次回からはそのような話題もいろいろと書いていきますので、お楽しみに。