日本メンタルアップ支援機構 代表理事 大野 萌子


 「人に振り回されやすい人」にありがちなのが、何か発言しても「どうせ理解してもらえない」「状況は変わらない」といった気持ちを強く持っていることです。要するに、伝える前に諦めてしまっているのです。さらに「言わない人」は、言えないからこそ、相手に「察してほしい」要求を持ちやすく、期待して裏切られると相手のせいにしがちです。相手をコントロールすることはできませんから、いつも不満や不全感を抱くことになりがちです。

 日本には古くから「察する」という文化があります。ですから、自分から発言しなくとも相手がこちらの表情や態度から理解を示してくれることが往々にしてあります。しかし、それは関係性や相手次第である上に、必ずしも常にそうしてくれるわけではありません。ましてや職場で、これを求めてしまうのは無理があります。分かり合うためには、自分から率直に意見を述べることが大切なのです。

 「意見を言わない」→「分かってもらえない」→「傷つく」→「言うのを諦める」といったスパイラルに陥らないようにしましょう。このように自分の意見を言うことを諦めてしまうと、心の中に常に不満や怒りをため込むことになります。

 それでも何か言うことに不安に感じるのは、はっきり意見を言うのを、わがままと捉えてしまう傾向があるからではないでしょうか。「自己主張」と「わがまま」は全く別物です。

 人それぞれ、感じ方も違えば意見も違います。それを伝えなければ、実際には何を考えているのか、また求めているのかも分かりません。相手の都合も考えず、一方的に自分の意見をまくしたてるだけで、相手の意向は無視となるとわがままだと思いますが、自分の意見は、はっきりと伝えた上で、折り合えるところを探し、擦り合わせをしていくことこそが、人間関係の基本だということをぜひ心に留めてください。分かり合える関係を築くことで、業務もスムーズに進めたいですね。