IT経営マガジン「COMPASS」編集長 石原 由美子

本連載では、IT経営マガジン「COMPASS」に掲載した全国のIT活用事例を基に、中小企業の経営において、ITがどのように役立つかを解説していきます。 

 コロナ禍のように不測の事態が発生した際、新しい取り組みを実現する手段として、選択肢の一つとなるのがIT活用です。前例がないことだからこそ、実行して分かったことに基づき、さらに変えていく力がよりよい結果を生みます。

 2020年春からの一定期間、観光客の減少に見舞われた沖縄県石垣焼窯元の対応について、紹介します。

 「COMPASS」2022年春号から転載(記載内容は掲載時点のもの)

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<会社概要>

合同会社石垣焼窯元

沖縄県石垣市名蔵1356-71

設立:2007年(創業は1999年)

従業員数:5人

URL:https://www.ishigaki-yaki.com/

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 2022年1月、沖縄県の石垣島に観光客の姿はまばらだった。年明けすぐ、県内に「新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置」が適用され、休業する飲食店や棟の半分は営業を止めるホテルも……。

 海外からも高い評価を得ている、鉱石とガラスの融合で石垣島の海の色「石垣ブルー」を表現した焼物「石垣焼」を製造・販売する石垣焼窯元も、コロナ禍の2年間、個人客の来店はあったものの、ツアーでの訪問が減る事態に。

 「お客さまがいらっしゃらないから……と、何もしないでいたら経営が難しくなります。これまで実施していなかったネットショップや、購入型クラウドファンディングサイト『Makuake(マクアケ)』に挑戦しました」

 石垣焼窯元の工藤晴美氏は、自社の対応をこのように話す。

 20年11月に実施した「Makuake」の第一弾では、初日2日間で全体の7割を占める数字を出し、1週間で目標額を達成。400人を超えたサポーターからは、感想やメッセージが多数寄せられた。

 1品ずつ色の出方や模様が異なるので、本来なら手に取って選んでほしい商品である。これまでの自社Webサイトは情報提供を主眼とし、ネットショップの開設は控えていたという。コロナ禍での初挑戦だった。リアルに感じてもらえるよう、撮影角度やライティングに工夫をしたり、使用イメージが分かるよう料理を盛りつけた写真を撮ったりして工夫をした。動画も勉強したという。

 ところがオープンしたネットショップを22年2月にリニューアル。なんとも早い改良である。理由は、ネット購入者の7割がスマートフォンからだったため、最新のECサイトを調べ、スマートフォンで使いやすい「Shopify(ショッピファイ)」に切り替えることにしたからだ。

 「やってみて分かることも多いので、少しずつ動かしながら変えるようにしています。全部出来ているわけではありませんが、『こうしたいな』『これをやってみたいな』と常に考えるよう心掛けています」と工藤氏。変化を前提とした取り組み姿勢や、PDCAの大切さが伝わってくる。

 クラウドファンディングやネット販売において、リピーターのありがたさを強く感じたという。手厚い対応の基盤となり、メール配信も行える顧客管理システムがすでに導入されていたことは、大きな力になった。

 「会社を維持してこられたのは、お客さまのおかげです。多数の励ましもいただきました。リピーターの方にもずっと愛していただけるように、ワクワクする新しい作品もつくっていきます」

 工藤氏は心からの感謝をこう表現した。

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【事例からヨミトル】

・急激な環境変化が起き新しい取り組みを考える際、ITを活用できる場面が多くあります。

・新しい取り組みを実行した後は、顧客の反応やデータを見て、次の策を考えましょう。

・「一度つくったものだから……」とかたくなにならず、「よりよく変えていく」姿勢を持ちましょう。