IT経営マガジン「COMPASS」編集長 石原 由美子
本連載では、IT経営マガジン「COMPASS」に掲載した全国のIT活用事例をもとに、中小企業の経営において、ITがどのように役立つかを解説していきます。
デジタルをうまく使って顧客に革新的なサービスを提供するDX(デジタルトランスフォーメーション)。
製造業においては、自社の製品にITを組み込むことで新しい価値を提供することもできます。3社連携の「スマートランドリー」サービスを実現した広島県尾道市の山本製作所の例をもとに、「DXを推進できる会社」の特徴を探っていきます。
「COMPASS」2019年春号から転載します(記載内容は掲載時点のものです)。
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<会社概要>
株式会社山本製作所
広島県尾道市長者原1丁目220-19
設立:1956年(創業:1947年)
従業員数:200人
事業内容:業務用洗濯機全般の製造
URL:https://www.onomichi-yamamoto.co.jp/
*「健康経営優良法人2023」に認定されています(3年連続)
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スマートフォンのアプリを使ってコインランドリーをより便利にしたサービス「スマートランドリー」(運営:wash-plus社)。3社連携で推進したプロジェクトにおいて、ランドリー機械の開発を担当したのが、広島県尾道市の山本製作所である。
「スマートランドリー」では、洗濯機にIoT(人を介さずモノとモノがデータを送受信する仕組み。ここでは稼働状況の情報など)装置を組み込み、洗濯が終了すると顧客のアプリにお知らせする、スマホから料金を支払えるなど、顧客の利便性を高めた。
これはまさに、デジタルを活用して顧客に革新的な利便性を提供するDX(デジタルトランスフォーメーション)であるが、当サービスが開発されたのはDXが話題になる前の2017年であるから驚きだ。
wash-plus社からの提案で始まったプロジェクトは、山本製作所の洗濯機がすでに高性能であることから、製造面は比較的スムーズに進んだそうだ。プロジェクトを推進してきた営業部課長の高岡耕司氏は、「サービスの仕様を決めるまでの検討プロセスが新規事業の大変さでした」と振り返る。
挑戦はリスクを伴うが、山本製作所には、未知の世界へ果敢に挑む企業風土がある。ランドリー機械の製造は一貫して尾道で行いつつ、突出した製品力をキーに、販路をアジア、米国、ヨーロッパへ広げてきた。
「世界にチャレンジすると技術者は自分の力が試せますし、海外志向の若者も入社してきます。殻を破れるのではないでしょうか」と山本尚平社長は説明する。
生産工程はすべてシステムで管理し、製品のトレーサビリティを実現している。長年使用していても、メンテナンスや部品交換に対応できるきめ細かさで、さらに付加価値を高めているのだ。ロボットや設備にも積極的に投資しており、人が担うべき役割に力を発揮してもらうための体制をとっている。
革新的なサービス開発への挑戦は、こうした経営方針から生まれたともいえる。
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【事例からヨミトル】
・企業規模によらず、デジタルを活用して顧客に新しい価値・革新的なサービスを提供することができます(DX)。
・完成品を製造している場合は、その製品にIoT(モノとモノがネット上でデータをやり取りする仕組み)などを組み込むことで、付加価値を高めることもできます。
・日々の経営において、挑戦する風土の醸成を心がけたいものです。
