IT経営マガジン「COMPASS」編集長 石原 由美子

本連載では、IT経営マガジン「COMPASS」に掲載した全国のIT活用事例をもとに、中小企業の経営において、ITがどのように役立つかを解説していきます。

 IT活用がうまくいかない、効果が出ないと悩む企業には、「会社をどうしていきたいか。そのためにITで何を実現したいか」という導入目的があいまいになっていることがよくあります。会社のあるべき姿を描き、必要なITを取捨選択していきたいものです。

 「石垣ブルー」の美しい色合いの陶器を製造販売している沖縄県石垣島の石垣焼窯元は、積極的に海外発信を考えたところ、現在のスタッフだけで実現するには、IT化が必須であると考えました。

 「COMPASS」2019年秋号から転載(記載内容は掲載時点のもの)

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<会社概要>

合同会社石垣焼窯元

沖縄県石垣市名蔵1356-71

設立:2007年(創業は1999年)

従業員数:5人

URL:https://www.ishigaki-yaki.com/

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  沖縄県石垣島、ブルーとエメラルドグリーンが美しい海岸近くに建つのが石垣焼窯元である。人気が高い陶芸体験の教室の奥では、琉球の海を彷彿(ほうふつ)させるブルーが際立つ石垣焼の品々が販売されている。

 石垣焼は、現代表・金子晴彦氏の父が生み出した「よろん焼」をルーツとし、粉末にした鉱石と透明のガラスを使用した焼き物である。油滴天目茶碗を代表に、日常使いの食器、アクセサリーなど種類も豊富だ。

 海外からも注目され、英国の大英博物館に常設展示されている。店舗には、近隣の香港・台湾からの来客も多いという。Webサイトは英語、フランス語に対応しているが、アート分野に焦点を当てたWebサイトを立ち上げ、海外への積極的な発信を行う計画を立てた。

 「海外展開を現在のスタッフで実現するため、機械に任せられるところは任せたい。販売管理や在庫管理をすっきりしたいと考えました」。業務管理を担当する工藤晴美氏は状況をこのように説明する。

 店内は観光バスが到着すると一気に来客数が増える。この時にも販売をスムーズに進めたい。また、自社店舗のほかにホテルなどへの卸販売があり、販売・在庫管理が複雑だった。表計算ソフトExcelでマクロを組むなど工夫をしていたものの、慣れないスタッフのうっかりミスでマクロが崩れてしまうなど、悩みがあった。

 そこで、地元IT企業K.J.S社の「結シリーズ」を活用した。ツアー客のクーポン対応などが必要なため、カスタマイズしたPOSレジと、在庫管理、会計のシステムを導入。三つのデータを連携できる仕組みとした。

 商品が焼き上がると在庫データを登録し、バーコードつきの値札シールを出力して商品に貼り付ける。レジの際にバーコードを読み取ると、同時に在庫が引き落とされる。売上データは会計にも自動連携するので、データを移す作業がなくなり、かつ正確さが保たれるようになった。さらに、クレジットカード決済や自動釣り銭機も導入した。金額決定後、現金を投入するとおつりが自動的に出てくるので、釣り銭の間違いが起きないのだ。

 工藤氏は、「レジ締めが簡単になり、圧倒的に効率が上がりました。今後は、顧客管理もしっかり行い、リピーターを増やしたい」と意気込みを語った。

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【事例からヨミトル】

・「同じ人数で今までより多くの仕事をこなしたい」と考えると、ITを活用したい分野が見えてきます。

・POSレジ、在庫管理など、業務システムは分野ごとに提供されていますが、データを連携させると、さらに便利に活用することができます。