日本メンタルアップ支援機構 代表理事 大野 萌子

 「やらなければならないこと」を先延ばしにしていないでしょうか。「○○だからできない」と理由を付けて「やるべきこと」から目をそらしてしまったり、「今日こそやろう」と思っても、あっという間に時間が過ぎ去り憂鬱(ゆううつ)になってしまったりした経験もあると思います。そういった場面で「やる気」のスイッチを入れ、集中して取り組むためにはどうすればいいのでしょうか。

 趣味や好きなことに集中していて、時間がたつのも、ご飯を食べるのも忘れるくらい夢中になった経験があると思います。それは、集中してやり続けられる能力が備わっているということでもあります。集中できないのは「気持ち」の問題です。やるべきことを先延ばしにしないために、気持ちをコントロールすることが必要です。

 その方法の一つは「形から入る」ことです。スポーツをするために道具をそろえたり、料理をするために良い包丁を買ったりすることを思い浮かべる人も多いと思います。形から入るというと、うわべだけで内容が伴わずに無駄だと思いがちですが、実はイメージを具体化させると明確な行動につながりやすいのです。道具だけではなく、環境も同じです。つまり、仕事の前にデスク周りを片付ける、照明の明度を変えるなども有効です。場所によりますが、仕事モードの音楽をかけるのもいいでしょう。

 また、仕事がたまっているときは、何から手を付けていいか分からなくなり、やる気が起きない場合もあります。そのまま思考停止の状態になってしまうのは危険です。人間の脳は、一度ストップしてしまうと、再びアクセルを踏んでスタートするのに時間がかかるのです。

 そのため、まずは「動くこと」が大切です。とはいっても、やみくもに手を出してはなかなかうまくいきません。そこでお勧めしたいのが、「やるべきことの書き出し」です。現状をきちんと把握し、一覧で見ることで、漠然としていた自分のタスクが整理されます。頭の中で思い浮かべるだけでは細部がぼんやりし、優先順位があいまいになります。リストを書き出すのは、紙でなくとも視覚的に管理できるものであれば、アプリなどを利用してもいいと思います。

 気に入った文具や小物をそろえるのも効果的ですので、「形から入るなんて」と敬遠せずに、試してみてください。