日本メンタルアップ支援機構 代表理事 大野 萌子
職場での人間関係が希薄になったということが、よく聞かれます。特にコロナ禍以降、直接の会話の機会が減り、職場以外での交流も以前よりハードルが高いものに変化しました。また、ハラスメントを意識して、プライベートの話題を避けようとするあまり、会話の糸口が見つからないということもあります。
さらには「相手の時間を奪うのでは」と気にし過ぎて、同じ職場にいても、ちょっとしたやり取りまでチャットなど文字ベースで送る人も増えました。しかし実際には、適切な文章を考える方が時間がかかり、相手の時間を奪ってしまっているという面もあります。文字だけですと細かいニュアンスが伝わらず、一方的な解釈を生みがちです。よほど注意しても、読み間違い、勘違いによるトラブルが発生することも多くあります。
基本的に人は分からないことに対して想像力を働かせて補完する傾向があり、行間を悪い方へ解釈しがちなのです。それが積み重なると、ささいなことで大きなトラブルに発展しやすくなります。こうしたトラブルを防止するためには、直接語り合うことが大切です。特に違和感や疑問があるときは、メールなどの文字ツールではなく、対面で会話する、電話をかけるなど直接のコミュニケーションを併用しましょう。
不満や憤りを感じていても、ちょっと話すことによって誤解が解け、「なんだ、そんなことだったのか」とあっけなく解決することは少なくありません。毎日繰り返されるささいなやり取りのひずみが、心をむしばんでいく元にもなります。「あーでもない、こーでもない」と悩んだり、不快な想像を膨らませたりする前に、直接確認、質問することで、わだかまりの解消に努めましょう。
仕事だけでなく、一緒にお昼ご飯を食べるなど、無理のない範囲で接することで、お互いの理解が深まるきっかけにもなります。適度にコミュニケーションが取れている職場は、トラブルが起きにくく、メンタル不調になりにくい傾向ですので、積極的に「話すこと」を心掛けてみてください。
