日本メンタルアップ支援機構 代表理事 大野 萌子
仕事をしていく上で「『ロールモデル』は必要だ」と考えている人がとても多い気がします。実際に「ロールモデルが見つからない」という悩みや、「ロールモデルがいない職場なので辞めようかと思う」などの相談はよくあります。ロールモデルが必要だと考える理由は、仕事のやり方をはじめ、「自分の将来を思い描く対象として、具体的な象徴になること」にあるようです。手探りで物事を模索している人にとって、それは解決策のように感じるのかもしれません。確かに、目標や理想とする人物像があることは、それを目指して頑張るというモチベーションを保つためには、一定の効果がありそうです。
ただ、リスペクトできる素晴らしく有能な上司がいたとして、「あの人のようになりたい」と思ったときに、同じように業務をこなし、同じように業績を上げ、評価されることができるでしょうか。年齢、経歴、家庭環境、そのほかにもさまざまなことを「自分とは異なる人物」と同じようにすることは難しく、結局「自分はダメだ」と自己否定することにつながってしまうケースが残念ながら多く見受けられます。自信を喪失するきっかけにもなりやすいので要注意です。
時代背景も刻々と変わり、業務内容も変化しています。そのような中で、「前例に基づき、こうすれば大丈夫」と今までと同じことをしても、うまくいきません。柔軟な変化が求められている昨今、「ロールモデル」の存在はデメリットにさえなります。
しかし、特定の人に憧れることを否定するわけではありません。ロールモデルは、1人に限定せずに「○○さんのこの部分は取り入れよう」「△△さんのこの姿勢はまねしたい」と、それぞれの「いいとこ取り」を目指すことが健全な方法です。
また、身近な人物だけでなく、成功を収めた著名人を目標としている人もいると思います。共感し、高い志を持つことは素晴らしいことです。しかし、そのやり方や考え方をそのままではなく、「自分事」として落とし込む作業が必要です。実現可能なところまでアレンジできてこそ結果につながり、やりがいや自信に結び付けることができます。
