日本メンタルアップ支援機構 代表理事 大野 萌子
役職定年や定年後再雇用により、上司・部下の関係が逆転することに戸惑う職場は少なくないようです。また、一度定年になってからの転職などで新しい仕事に就く場合も昨今は珍しくありません。職場内における人間関係がさまざま変化する中で、良好な人間関係を構築するポイントはどこにあるのでしょうか。
その重要なポイントは「平等性」です。平等性といっても組織の中での役割の上下関係を否定することではありません。関わり方の問題です。
平等性を考える際に分かりやすいのは、相手に対する言葉遣いです。例えば、同じことを依頼する際に、年下の部下には「これやっといて」と言い、年上の部下に対しては「これお願いします」では、よい環境をつくることが難しくなります。無自覚かもしれませんが、明らかに上司が部下を区別しており、それが部下に伝わるからです。年下の部下は、年上の部下にだけ丁寧に関わっている上司を見て面白くない感情を抱くかもしれませんし、ため口を聞いてもらえないよそ者と心理的に排除するかもしれません。
もう一つ例を挙げるなら呼称です。親しみを持って「○○ちゃん」と呼ぶことはNGかというと、私はそうは思いません。職場内の全員がお互いを「ちゃん付け」で呼び合う職場であれば、平等性が保たれており問題がないからです。しかし、一部の人を年齢や性別、そして役割を意識するような「ちゃん付け」をするようなら、その対象者を軽んじていると思われても仕方ありません。反対に、「ちゃん付け」されていない他の人に疎外感を与えてしまうこともあります。このように呼び掛け方一つをとっても平等性を欠くシーンがあり、人間関係を少しずつ狂わせます。大げさなことではなく、日々の関わり方を「平等にする」ことで職場の雰囲気は穏やかに安定し、それぞれの能力を発揮しやすくなります。ぜひ意識してお互いが尊重できる関係性づくりに役立ててください。
